オートサーフェスを用いて手抜きコアデータを作成する
今回は、オートサーフェスを用いた手抜きデータ作成の手法をお伝えします。
設計者においては、CADデータを作成するとき、金型を想定して、キャビコアデータ、あるいは一定厚のデータを作成する必要があると思います。
この際、通常はCADに搭載されている機能、「シェル」や「オフセット」を使用することと思います。
ですが、この機能、使ったことがある方ならわかると思いますが、ちょっと複雑なデータになると、すぐにエラーが発生してしまいます。
正式なデータなら、調整しつつコアデータを作成していく場面ですが、「とにかくどんな形式でもいいからコアデータ・一定厚データを作りたい!」という場面もあると思います。(試作品や内装物の位置確認用など)
今回の手法はそういう場面で使用する手抜き手法の紹介になりますので、正式な場面で使える手法ではないことをご了承ください。
使用ツール
以下のソフト・ツールを使用して今回は作業を進めていきます。
使用用途に合っていれば、問題ないのでご自身の持っているソフト・ツールでお試しください。
・SolidWorks(3DCAD)
・Meshmixer(メッシュ編集ツール。AutoDesk社のフリーソフト)
・Geomagic Wrap(オートサーフェス機能のあるリバースソフト)
手順
①底面の底上げをします。
今回は1.5mmオフセットしたコアデータとして作成していくので、1.5mmよりも多く底上げします。
②メッシュデータとして出力します。
.stlデータや.objデータに変換できれば大丈夫です。
③Meshmixerにて中空データを作成します。
ここが今回の手抜きデータ作成において、もっとも重要なポイントです。
CADデータとしてオフセットをする場合、サーフェス単位でオフセットの処理を行います。
その為、オフセットしたら数値がなくなくってしまうような曲面や、サーフェス同士が交差してしまう箇所などに矛盾が生じ、エラーが発生してしまいます。
それに対して、メッシュは非常に細かい三角の集合になる為、オフセットの際に柔軟に対応できます。また、スムージング等も自在にかけることができる為、オフセットが失敗することはまずありません。
ただし、角や特徴形状などは勝手に丸められてしまう為、厳密な意味でのオフセットデータとは言えなくなってしまいます。
④中空の中身のメッシュデータだけを使用して、オートサーフェスをします。
⑤元データと合わせて位置合わせをします。
これでオートサーフェスのデータを手抜きコアデータとして使用ができます。
また、ここから一定厚のデータを作りたい場合は、ブーリアン演算でコアデータ分を除去します。
以上です。
ここまでの作業は1時間足らずで完了しました。
オートサーフェスのデータである為、面分けが細かく、この手法がすべての場面で代用できるとは言いませんが、ちょっと試作用に、確認用に、とデータを作成したい場合であれば、活用の機会のある手法かと思います。
ぜひ試してみてください。