マーカー貼り付けはもう不要?Sermoon S1・P1のブルーレーザーマーカーレス機能を実機検証

弊社ではCreality社の高精度3Dスキャナー「Sermoon S1」および「Sermoon P1」を取り扱っています。

先日、アップデートによって「ブルーレーザーマーカーレス機能」が追加されましたので、使用感などを検証してみました。

従来のブルーレーザースキャンでは、位置合わせ(アライメント)のためにマーカーシール(ターゲットマーク)を対象物に貼り付ける作業が一般的でした。

しかし、この新機能ではマーカーを貼ることなく比較的高精度なスキャンが可能とされています。

そこで本記事では、同一のスキャン対象物を使用し、新しいブルーレーザーマーカーレススキャンと従来の赤外線スキャン(構造光方式)でどのような差が生じるのかを、実際の検証データをもとに比較します。

1. 検証環境と使用データ

今回の検証では、形状の複雑さや色・質感の異なる特徴を持った2種類のワークを用意しました 。

  • 使用機材: Creality Sermoon S1 / Sermoon P1
  • 検証内容:
    1. 新機能「ブルーレーザーマーカーレス」スキャン
    2. 従来からある「赤外線モード(構造光方式)」スキャン
  • 評価ポイント: トラッキングの追従性、点群の取得スピード 、詳細形状の取得のしやすさ

2. 【工程比較】スキャン時の操作感と撮りやすさ

それぞれのモードで実際にスキャンを行った際の、操作感や挙動の違いを比較します。

▽SermoonP1の検証動画▽

▽SermoonS1の検証動画はこちら▽

2-1. トラッキングの追従性とロストのしにくさ

  • 赤外線モード: 視野角が広く、ワークの凹凸(ジオメトリ)または色(テクスチャ)の特徴によってトラッキングを行うため、比較的安定してスキャンできます 。トラッキングモードは1モードのみ選択できるので、今回はジオメトリで行いました。そのため、特徴の少ない箇所や似た形状の箇所ではトラッキングロストしてしまう場面もありました。ですが、ブルーレーザーモードより視野角が広いため、今回の対象物においてはほぼ問題なくスキャン出来ました。
  • ブルーレーザーマーカーレス機能: ブルーレーザー特有のシャープなスキャン特性を持ちながら、赤外線モードでも使用されるトラッキングモードである「ジオメトリ+テクスチャ」モードを使用し、ハイブリッドでトラッキングを行えます。また、ブルーレーザーにより高解像度(細かい点群ピッチ)でスキャンできることもあり、比較的早く本体を動かしてもトラッキングがロストしにくいという印象でした。

2-2. 点群の取得スピードと網羅性

  • 赤外線モード: 一度に照射されるパターン光の範囲が広いため、大まかな形状をザクザクと素早く捉えていくスピード感に優れています。
  • ブルーレーザーマーカーレス機能: レーザーラインでスキャンしていくため、赤外線モードより時間がかかる想定をしていましたが、赤外線モードと比較して、点群の取得スピードが遅い印象はありませんでした。

3. 【データ比較】取得データのクオリティ(解像度・エッジ表現)

スキャン完了後のポリゴンデータ(メッシュ)の仕上がりを比較します。

  • エッジや細部(ディテール)のシャープさ:
    • 赤外線モード: 全体的にノイズが少なく滑らかなデータが取れますが、細かい刻印や角のシャープなエッジ部分は、やや丸みを帯びたデータになりがちです 。
    • ブルーレーザーマーカーレス機能: マーカーレスでありながら、ブルーレーザーならではのエッジの再現性があり、微細なディテールも取得できます 。マーカー不要の快適さのまま、赤外線モードでは少しダレてしまうような形状も取得できる点が好印象です。

4. 2つのマーカーレス、どう使い分ける?

今回の評価検証を通して、新しく追加された「ブルーレーザーマーカーレス機能」は、Sermoon S1 / P1でのスキャンにおいて、マーカーを貼らなくてもよい「手軽さ」と赤外線では難しかった「高精細さ」を両立させてくれる機能であることが分かりました 。従来の赤外線モードとの使い分けを整理します。

ブルーレーザーマーカーレス機能が向いているケース

  • マーカーは貼りたくないが、エッジや細部をシャープに表現したいとき(リバースモデリング用データなど)
  • ジオメトリまたはテクスチャのいずれかの特徴しかない場合にもトラッキングの安定性を優先したいとき
  • 赤外線で苦手とされる黒色や反射素材のスキャンを行いたいとき
  • 中型~大型の対象物のスキャンを行いたいとき

赤外線モードが推奨されるケース

  • フィギュアや人体など、細部のエッジが少なく、全体的になめらかな曲線が続く形状などをスキャンしたいとき
  • 大型のワークを、広い視野でとにかくスピーディーにざっくりとスキャンしたいとき

まとめ

Creality Sermoon S1およびP1は、今回のアップデートにより、現場の状況や求めるデータの質に応じて「2つの異なるアプローチのマーカーレススキャン」を自在に選択できるようになりました

特に「マーカーを貼る手間は省きたいけれど、赤外線モードだとエッジが物足りない……」と悩んでいたユーザーにとって、このブルーレーザーマーカーレス機能はまさに痒い所に手が届くアップデートと言えます。

ただし、あくまでもトラッキングの手法は赤外線モードの応用技術となりますので、赤外線モードより格段に撮れる!というわけではありません。

形状やスキャン環境により、向き不向きがありますので、自社のワークでどちらのモードが最適か、実際の操作感を見てみたい方は、ぜひ一度ご相談ください 。

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